東京盆踊りの会は、東京都社会教育活動(教育委員会所管)登録団体を中心に複数の盆踊り組織によって構成された協同体です。独り善がりの一過性の盛り上がりではなく、日本人が長年培ってきた利他の精神を育み、人の和によって皆が明日を力強く生きる原動力となる盆踊りを大切にしています。
弊会の会長は幼少の折から盆踊りに従事し、学術的には日本史学・日本語学を修め、芸術では書道、民踊、歌謡、浪曲、講談、詩吟を学び、教育の分野では大学や各種教育機関において第一人者として指導的活動をして参りました。近年は公務員の方への講習指導を担い、区民(都民)の方々にとって住み良い地域社会の実現を模索しております。その長年の活動の集大成としていくつかの社会教育関係登録団体も運営しております。時には生みの苦しみに心が折れる時もございましたが、その志を支えたのは、学生の折に国民歌手・三波春夫先生より頂戴した数々のお手紙でございました。また、弊会設立当初の頃に、政財界重鎮の諸先生方より「盆踊りは今、世界でも注目されている。是非活動を頑張ってほしい」と背中を押して頂き、お陰様で日々着々と活動を拡大することができました。
日本は世界で最も歴史の長い国であり、その根源たる日本文化は、日本人である我々が堂々と世界に誇るべきものであります。
弊会は日本の歩んできた道、先人が守ってきた日本文化の魂を遵守し、目先の派手さのみで中身の無い虚構ではなく、噛めば噛むほど味が出る鯣のような藝を追い求めております。そして、来るべき未来に向けて日本文化はどのようにあるべきかをしっかりと見つめ、亀の歩みで日々の稽古に励んで行きます。
踊りを一般の人にも楽しんで頂くことを目標としていますが、弊会では特に「学術性」「芸術性」「教育性」の3点をしっかりと意識しています。学術性とは歴史的・体系的背景から「盆踊りとは何か」を追究すること、芸術性とは時空を超えた「盆踊りの美しさ」を現出していくこと、そして「学術」「芸術」を多くの方に楽しくわかりやすく伝えていくことが教育性です。これらを全て網羅し、弊会では「体系的に裏付けられた」「美しさを」「わかりやすく楽しく教える」と言う3つの柱を基本にしています。
東京都特別区の社会教育関係登録団体
弊会に所属する団体の多くは東京都特別区の社会教育関係登録団体です。営利目的の月謝制教室ではありません。
【参考】社会教育法 第三章 社会教育関係団体
(社会教育関係団体の定義)第一〇条 この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。
(文部科学大臣及び教育委員会との関係)第一一条 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、専門的技術的指導又は助言を与えることができる。2 文部科学大臣及び教育委員会は、社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、社会教育に関する事業に必要な物資の確保につき援助を行う。
(国及び地方公共団体との関係)第一二条 国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。
【昨今のDJ盆踊り・洋楽盆踊りに対する見解】
近年、全国各地の盆踊りの場において、従来の伝統的な形態とは異なる「DJ盆踊り」や「洋楽盆踊り」と称する催しが開催されているとの報告に接しております。これらがメディアなどで取り上げられる機会も増えていると伺っております。今一度、盆踊りという行事が本来持つ意味や、長い年月をかけて育まれてきた精神性について、改めて皆様にご理解いただきたいことがございます。
盆踊りの本来の意味について
盆踊りは、単なる夏の夜の娯楽や、地域の親睦を深めるお祭りではありません。その根底には、古くから日本に伝わる「先祖の霊をお迎えし、供養し、お送りする」という宗教的な意味合いが流れております。お盆の期間、私たちの元へと還ってこられるご先祖様の霊を、踊りを通じておもてなしし、共に楽しい時を過ごしていただく。そして、無事にあの世へとお送りする。盆踊りの輪の中では、太鼓の響きや歌、そして一つ一つの舞が、目に見えぬ存在との大切な対話の手段として、長い歴史の中で育まれてまいりました。
私たちが憂慮すること
そのような伝統と精神性を持つ盆踊りの場に、DJによる煽動や洋楽が流されることは死者(日本の霊魂)への冒涜に当たり、以下の点から深く憂慮しております。
第一に、盆踊りを支えてきた精神性の継承が途絶えることであります。そこに込められた「先祖を敬う心」や「目に見えぬものへの感謝の念」が失われてしまうこと。これは、未来の子供たちに、私たちが受け継いできた大切な心を手渡せなくなることを意味します。
第二に、これらの動きの背景に、伝統文化を軽視する風潮や、外国文化の模倣のみを追求する外来主義が見え隠れしていることであります。盆踊りが持つ本来の意味がないがしろにされ、単なる「珍しいもの」「面白いもの」として消費されてしまうことへの危惧を、私たちは抱いております。
当会の願い
盆踊りは、伝統を守ることと、時代に合わせて変化することの間で、常に模索を続けてまいりました。形だけを固持することが目的ではございません。大切なのは、盆踊りの中心にある「ご先祖様を敬う心」と「地域の結びつき」ではないかと考えております。もし、新しい形で盆踊りを楽しまれる場合にも、どうかその根底にある精神に思いを致していただければ幸いでございます。盆踊りの場で奏でられる音や歌の一つ一つには、先人たちの想いが込められております。その想いを尊重していただくことが、結果として、より豊かな盆踊りの未来を築くことにつながると信じております。
当会といたしましては、伝統的な盆踊りの保存・継承に努めるとともに、その精神性を正しくお伝えする活動を今後も続けてまいります。そして、盆踊りの場において、伝統を無視した形での催しが行われようとした場合には、主催者の皆様と丁寧に対話を重ねながら、盆踊りの本質が損なわれることのないよう、努力してまいりたいと存じます。
盆の夜、静かに灯る灯篭の光のもとで、目に見えぬものと共に在るひとときを感じること。その尊い時間を、未来の子供たちにも伝えていくこと。それが、今を生きる私たちの、先人に対する責務であり、また後世に対する使命であると、私たちは考えております。皆様には、盆踊りが持つ本来の意味について、今一度ご理解を深めていただき、それぞれの地域で大切に受け継がれてきた伝統を、これからも共に守り育てていっていただけますよう、心よりお願い申し上げます。
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